1990年5月に「天才タマゴ」のフレーズで北米に続き日本デビューした初代エスティマTCR(TCR型エスティマ)。従来のワンボックスタイプのミニバンとは一線を画するスタイリングに、7〜8人が快適に移動できる室内空間、乗用車感覚のハンドリングを融合した画期的な新型車であった。もっとも、特徴的なのは外見よりも中身のほうだろう。エンジンを75度傾けて床下に搭載した独創的なフロントミッドシップレイアウトによるフラットな床面の室内空間を実現。さらにコラムシフト式の4速ATを採用により、前席ウォークスルーを容易としていた。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット、リアがダブルウィッシュボーンという乗用車的な仕様。背の高いミニバンとは思えない操縦安定性を示した。1.7t級のボディながら2.4L直4エンジンのみの設定というのが泣きどころであったが、94年にはスーパーチャージャー付モデルを追加し、大排気量エンジンを搭載するライバルに対し巻き返しを図る。日本でミニバンブームが起こるはるか以前より、これほど進んだコンセプトを身につけていた希代のモデルである。 |